住まいづくりの考え方
私が子育て中の主婦だからでしょうか。
住まいづくりで一番大切なことは「日常の生活を豊かにする!」これに尽きると思います。
いくら広くて大きな家でも、デザインの優れた家でも、結局はその人、その家族の暮らし方に合わなければ生活に小さな不自由を感じることでしょう。
雑誌に載る素敵な家に憧れてそっくり真似をしても、それは他人のスタイルなので自分が住んでもその家に愛着を抱けないことでしょう。
自分にピッタリな身の丈に合った家を作ることをベースにしつつ、でもほんの少しだけ今よりも背伸びしてみる。せっかく家を建てるのですからちょっとだけ頑張ってみる。
そのほんの少しの背伸びや頑張りが、住まい手のその家族らしさを変えることなく一つ上の豊かな生活に導いてくれ、暮らしに彩を与えてくれ、心地よい住まいにしてくれるのだと思います。
家を建てようとする全ての人達が、そんな住まいづくりであってほしいなと願っています。
設計事務所の役割
建築家と聞くと、堅苦しく敷居が高いイメージがあるのではないのでしょうか。
私がこうありたいと思う自分の姿は「建築家」ではなく「設計士さん」。
例えるならドクターではなく町医者のような存在。
家を建てる時はもちろん、建てた後もずっと関係が続き、施主さんに「我が家のかかりつけ設計士さんです」と言ってもらえたら理想的です。
施主さんとは二人三脚で一緒に一つの建物を作り上げていくので、お互いに本音で話し合える信頼関係性が必要です。
とはいえ意見が折り合わないこともあります。
施主さんに言われたことだけを叶えて形にするのであれば、それは私に頼まなくてもだれでもいいわけです。
施主さんの要望は必ずくみ取ります。要望こそが住まい手の、その家族らしさだと思っているのでそこは大切にしたい!
ただし施主さんの家とはいえ、設計者は自分も住みたくなるような家じゃないとやはりダメだと思うのです。
建物には設計者の感性と施主さんの要望が入り混じっていないと意味がない。
「施主の言う事は全てそのとおりに作る」と、「施主と別意見でもここはと思う所は設計者として譲らず説得する」では、前者よりも後者の方が誠実だと思っています。
それには時間も労力もパワーも必要ですが。。。
でも大半の人にとって一生に一度といわれる家づくり。
思っていた通りの家、よりも、思っていた家をはるかに超える良い家、の方が嬉しいに決まっています。
引き渡しの時に施主さんにびっくりしてもらい、感激してもらう。
その日の為にたくさんの打ち合わせを重ねながら、施主さんとお互いに意見交換しコラボレーションで家を作っていく。頭を悩ませ知恵を絞り出し最善を尽くす。
それが設計事務所の仕事だと思っています。